kemuri—ケムリ

July–August 2010

pit 北/区域

kemuriをみるということは、生者の特権かのようにも思われる現象である。
その煙の元には何かが存在し、生者はその何かをみずとも、kemuriをみつめることで己の生を噛み締める。
そして、そのkemuriとの関係とは、やがて己を包み込むであろうkemuriとの恐怖という名の距離感なのかもしれない。

この生者と死者の関係が表象されるかのような煙という概念から、
生き死という倫理的な意思の力、生きるものは殺さなければ生きていけないといった生の戒律との向き合い方、
戦争というシステム論ではない表現者個人と戦争概念との闘争を探っていきそれらとの相対性が空間化された作品である。
私たちは殺さなければ生きていけない。

平和とは戦争が手厚く招く来賓者である。
戦争が無残で残虐で卑劣を極めれば極めるほど平和の尊さが浮かび上がってくれればいいのだろうが。
しかし、平和が尊大であっても戦争の規模はそれに比例するものではない。
我々は舞台という制度的な場に立ち、それぞれの生き死の観点から戦争のシステムと向かい合い、
戦争の力作用に表現という力作用で抵抗する。
この作品は、ひとつの闘争の現れである。

東京バビロン演劇フェスタ#02「神なき夜に…
戦争が残したもの」参加作品

総合演出
宗方勝(bug-depayse)
出演
野澤健(bug-depayse)
野本翔平(bug-depayse)
橋本京子(bug-depayse)
オカザキ恭和
岩崎一恵
秦真紀子
山本美緒
玉井勝教(劇団芋屋)
OPパフォーマンス
直方平ひろと
演出補
照明監督
映像監督
音楽・音響

楽曲提供




Voice

舞台監督・美術
記録写真
宣伝美術
制作
辻響平
庭田悠甫
二宮直也
二宮直也
宗方勝
富永蔵人
岩永洋輔
鈴木健一
二宮直也
新井麻木
風香
ジェレミー・ロックリン
宗方勝
名鹿祥史
小笠原幸介
bug-depayse