彼について知っている僅かな事柄

May 2019

演出ノートのはじめに。彼とは一体誰なのか?

日本国憲法をテーマに上演する今回の作品は、戦後、憲法が公布された1946年から現在を、ほぼ同じくして生まれ現在に至る一人の重度障がい者の男性に焦点を当て、彼の人生のドキュメントと、20代から30代の障がい者の方々(彼らは戦後民主主義の恩恵を受けている世代でもあろう)と虚構空間を通じ、また健常者を交えた虚構空間で彼(彼という概念には老人になった男性でもあろうし、日本国憲法でもあろうし、天皇という存在でもあろう)とは一体何者なのかを虚構のドラマを交えながら制作する。

私たち障がい者は、国家という枠組みの中で保護をされ、ある程度の差別と、ある程度の社会的不平等を受け入れながら、最低限の生きるということを保護されている。虚構の空間において、その国家という枠組みを動かしている装置として登場人物たちは存在しながら、「彼」の人生を語っていく。

彼とは一体誰なのか? 彼の孤独な人生は、この敗戦から復興した日本の歩みの中で、名もなき人々の歩みとして、そして今を生きる私たちに投影してみたいと思っている。

d-倉庫主催企画 現代劇作家シリーズ9
「日本国憲法」を上演する 参加作品

演出
宗方 勝(bug-depayse)
出演
野澤健(bug-depayse)
竹内麟太郎
村上美緒
諸井健一
舞台監督
照明


音響


企画・主催
田中新一(東京メザマシ団)
三枝淳
木村琴乃
寺田香織
日影可奈子
許斐祐
ATS
die pratze
アフタートーク
石川雷太(本企画参加)
デツ禎稀(Super D主催、本企画参加)